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弁護士コラム

2021年09月06日
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道路交通法違反は前科になる? 刑事処分を受ける行為と具体的な罰則点数一覧

道路交通法違反は前科になる? 刑事処分を受ける行為と具体的な罰則点数一覧
道路交通法違反は前科になる? 刑事処分を受ける行為と具体的な罰則点数一覧

内閣府がまとめた令和3年版交通安全白書によると、令和2年中における道路交通法違反の取り締まり件数は575万1798件でした。これは点数告知にかかる違反を除いた件数なので、実際にはさらに多くの取り締まりが実施されたことになります。

「交通違反」のことを「道路交通上でのマナー違反」のようにとらえ、軽視している方がいるようですが、「道路交通法」違反であり、罰則も規定されている犯罪行為です。場合によっては刑罰を受けて、前科がつく事態になってしまうこともあります。

本コラムでは「道路交通法違反」に注目し、違反行為に対する罰則を紹介しながら、前科を回避するために取るべき正しい行動を解説します。

1、道路交通法(道交法)とは

道路における交通ルールは「道路交通法」という法律に詳しく定められています。交通違反と呼ばれる行為の多くは道路交通法の違反であり、刑法と同様に刑罰が定められている特別刑法によって規制される犯罪です。

ここではまず「道路交通法」がどのような法律なのかを確認していきましょう。

  1. (1)道路交通法の目的

    道路交通法は一般的に「道交法」と省略されることが多く、日常生活と非常に密接な関係にある法律として広く認知されています。

    道路交通法の目的は、第1条において「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資すること」と明記されています

    戦後の経済成長に伴い、移動・運送のために自動車が使用される機会が爆発的に増加し、交通事故死者数も激増したため、昭和35年に前身であった道路交通取締法を廃止して新たに制定されました。時代の流れとともに、目まぐるしく改正が重ねられています。

  2. (2)自転車や歩行者も! 道路交通法の規制対象

    道路交通法によって規制を受けるのは、主に4輪以上の自動車やオートバイ・原動機付自転車といった二輪車です。ただし、同法第2条1項11号には軽車両として自転車・荷車・馬車なども規制対象として明記されているほか、架線を用いたトロリーバスや路面電車も同様に規制を受けます。また、同法第10条から第15条は歩行者の通行方法も定められています

    たとえば自転車の運転者の場合は並進(2万円以下の罰金または科料)や無灯火(5万円以下の罰金)などが規定されています。

    さらに、歩行者も規制対象となっていて、歩行者による右側端に沿わない隊列による歩行(2万円以下の罰金または科料)などが道路交通法違反となり、刑罰を受けるおそれがあります。

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2、道路交通法違反で前科はつく? 処分内容と逮捕されるケース

道路交通法に違反する行為は犯罪になります。とはいえ、実際の社会生活においては道路交通法違反を犯したからといって直ちに逮捕されたり、刑罰を受けて前科がついたりするようなイメージはない方が多いでしょう。

道路交通法違反に科せられる処分や逮捕されて前科がつくケースを確認します。

  1. (1)道路交通法違反で受ける処分の種類

    道路交通法の違反者には「行政処分」と「刑事処分」の2つが科せられます

    行政処分とは、将来における道路交通上での危険を防止する目的で、車両の運転を禁止・制限するものです。違反内容に応じて点数を付加し、累積点数に応じて免許停止・免許取消・免許拒否・免許保留・運転禁止といった処分が下されます。

    なお、免許拒否や免許保留は運転免許の再取得や無免許運転の経歴があるなどの場合が対象であり、運転禁止は国際運転免許証を所持する人に関する処分です。そのため、一般的には免許停止・免許取消を受けることになるでしょう。

    他方、刑事処分は、道路交通法の罰条に応じた懲役・罰金などの刑罰を指し、刑が確定すれば前科がつきます。ただし、道路交通法に違反したからといって、年間に数100万件を超えるすべての違反者を刑事裁判によって処断していると裁判所の機能が停止してしまいます。そこで道路交通法では特例として「交通反則通告制度」が設けられています。

    交通反則通告制度とは、道路交通法上違反のうち比較的軽微な違反行為を「反則行為」とし、期日内に反則金を納付することで刑罰権の発動がなされなくなるという効果を生じさせる行政手続です。いわゆる「青切符」という青色の交通反則告知書によって処理される違反が対象で、反則金を納付すれば刑罰を受けることはありません。

    なお、交通反則通告制度が適用された場合でも違反点数の累積は免れないので、刑事処分を回避できても行政処分を受けるという場合があり得ます。

  2. (2)道路交通法違反で逮捕されるケース

    交通反則通告制度が適用される比較的軽微な反則行為では、警察官による告知を受けたうえで反則金を納付するという流れで処理されるケースが大多数です。ただし、交通反則通告制度が適用されない重大な違反を犯した場合(たとえば、無免許、酒酔い等、悪質で危険性の高い行為)や、死亡・重症を負わせた重篤な交通事故を発生させた場合などでは、逮捕される可能性があります。

    軽微な違反行為が発端でも取り締まり中の警察官やパトカーから逃走した場合や、運転免許証を提示せず氏名や住居が不明である場合など、警察官の指示命令に違反する行為をした場合は、逮捕の可能性が高くなるでしょう。

  3. (3)反則金を納付しないとどうなるのか?

    交通反則通告制度に基づく告知を受けながらも反則金を納付しない場合は、通常の刑事手続きに沿って処理されることになります。たとえば、窃盗や暴行・傷害といった刑法犯と同じように、警察による捜査のうえで検察官へと送致され、検察官が起訴すれば刑事裁判によって処断されます。

    反則金を納付しなかったため逮捕されたといった報道がされることがありますが、これは「反則金を納付しなかったため」というだけで逮捕されたのではありません。反則金を納付しなかったことで通常の刑事手続きへと移行したうえで、出頭要請に応じないなどの理由から逃亡や証拠隠滅を図るおそれがあるとして逮捕されたと考えられます

    つまり、反則金を支払わなかった場合でも、出頭要請に応じて自身の主張を伝えるなど適切に対応していれば、逮捕される可能性は低くなるでしょう。

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3、道路交通法違反の例と、その罰則一覧

道路交通法違反にあたる行為のうち、発生件数の多いものを中心に、知っておきたい違反の例や罰則を確認していきましょう。

  1. (1)一時停止違反

    道路交通法第43条には道路標識等によって指定されている場所における一時停止の義務が規定されているほか、同法第17条2項では歩道等に入る直前、同法第38条1項では横断歩道等の直前(ただし、道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前)における法定の一時停止が規定されています。法定刑は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金、過失による場合は10万円以下の罰金となり、違反点数は2点、反則金は普通車で7000円です。

  2. (2)最高速度違反

    道路交通法第22条1項によれば、道路標識等によって指定されている最高速度、または政令で定める最高速度を超える速度で進行してはなりません。最高速度の違反は速度超過とも呼ばれ、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金、過失による場合は3か月以下の禁錮または10万円以下の罰金が科せられます。

    違反点数と反則金は、超過した速度、一般道路と高速道路の別によって異なります。


    【一般道路の場合】
    • 時速15キロメートル未満……違反点数1点・反則金9000円
    • 時速15キロメートル以上20キロメートル未満……違反点数1点・反則金1万2000円
    • 時速20キロメートル以上25キロメートル未満……違反点数2点・反則金1万5000円
    • 時速25キロメートル以上30キロメートル未満……違反点数3点・反則金1万8000円

    【高速道路の場合】
    • 時速30キロメートル以上35キロメートル未満……違反点数3点・反則金2万5000円
    • 時速35キロメートル以上40キロメートル未満……違反点数3点・反則金3万5000円
    ※反則金はいずれも普通車の場合


    なお、一般道路では時速30キロメートル以上、高速道路では時速40キロメートル以上を超過すると交通反則通告制度の対象外となるため、反則金の納付によって刑事処分を免れることはできなくなります。

    また、刑罰に加えて違反点数が6点加算されるため、最低でも30日間の免許停止、すでに累積点数がある場合は免許取消を受ける可能性もあります。

  3. (3)携帯電話使用等違反

    運転中の携帯電話使用やカーナビの画像注視などは、道路交通法第71条5の5号によって禁止されています。法定刑は6か月以下の懲役または10万円以下の罰金で、交通の危険を生じさせた場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金に引き上げられます

    ここでいう交通の危険とは、携帯電話使用等に違反し、その結果として交通事故を起こしたり、交通事故に至らなくとも、後続車や対向車に急ブレーキをかけさせたりするような場合を意味します。

    違反点数は3点、反則金は普通車で1万8000円です。交通の危険を生じさせた場合は、交通反則通告制度の対象外となったうえで6点が加算されます。

    令和元年12月の改正法施行によって厳罰化されたため、行政処分・刑事処分ともに厳しい処分を受けます。

  4. (4)信号無視

    道路交通法第7条では、信号機の表示する信号または警察官等の手信号に従う義務を規定しています。法定刑は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金、過失による場合は10万円以下の罰金です。違反点数は2点、反則金は普通車で赤色信号無視が9000円、点滅信号無視が7000円です。

  5. (5)通行禁止違反

    道路交通法第8条1項は道路標識等によって禁止されている道路の通行を禁止しています。法定刑は3か月以下の懲役または5万円以下の罰金、過失による場合は10万円以下の罰金で、違反点数は2点、反則金は普通車で7000円です。

  6. (6)酒酔い・酒気帯び運転

    道路交通法第65条1項は酒気帯び運転を禁止しています。

    交通反則通告制度の対象外なので、酒気帯び運転には3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられますさらに、アルコールの影響で正常な運転ができない状態であれば酒酔い運転となり5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます

    違反点数と行政処分は次のとおりです。


    • 酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.25ミリグラム以上)……違反点数25点・欠格期間2年
    • 酒気帯び運転(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満)……違反点数13点・90日間の免許停止
    • 酒酔い運転……違反点数35点・欠格期間3年
  7. (7)報告義務違反(当て逃げ・ひき逃げ)

    道路交通法第72条1項は、交通事故発生時の措置として負傷者の救護と警察官への報告を義務付けています。負傷者のない「当て逃げ」には1年以下の懲役または10万円以下の罰金が、負傷者の救護を怠って逃亡する「ひき逃げ」には10年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられますまた、警察官へ事故報告義務違反については、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられます

    行政処分は次のとおりです。


    • 当て逃げ……危険防止措置義務違反5点+当て逃げのもととなった道路交通法違反に係る点数
    • ひき逃げ……救護義務違反35点+ひき逃げのもととなった道路交通法違反に係る点数+付加点数


    たとえば、駐車場において駐車中のほかの車両に接触して当て逃げした場合は、危険防止措置義務5点+安全運転義務違反2点=7点で、最低でも30日の免許停止を受けます。

    また、酒酔い運転のうえで被害者を死亡させたひき逃げ事故では、酒酔い運転35点+救護義務違反35点+死亡事故20点=90点となり、免許取消のうえで10年間の欠格期間が設けられます。

  8. (8)妨害運転(あおり運転)

    幅寄せや急な割り込みなどの「妨害運転」(あおり運転)は、令和2年の改正法施行によって新設された妨害運転罪にあたります。道路交通法第117条の2の2第11号に掲げられた10類型の行為に該当する場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

    さらに、高速道路上であおり運転によってほかの自動車を停止させ、道路における著しい交通の危険を生じさせた場合は同法第117条の2第6号の違反となり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。

    妨害運転罪の違反点数は25点であるため、免許取消となり2年の欠格期間が設けられます。高速道路上において著しい危険を生じさせた場合の違反点数は35点であるため、免許停止のうえで3年の欠格期間が設けられます。

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4、道路交通法違反で刑事処分を受けそうになったら、弁護士へ相談を

道路交通法違反は犯罪ですが、比較的軽微な違反であれば反則金を納付することで刑事処分を回避できるので、違反の事実があるなら交通反則通告制度の適用を受けて反則金を納付し、刑罰・前科を回避するのが賢明でしょう。

ただし、明らかに違反の事実がないのに容疑をかけられているなど不当な取り締まりを受けた場合は、適切な対応方法を行う必要があります。直ちに弁護士に相談してサポートを受けましょう。

  1. (1)事実と異なる場合は否認も有効

    道路交通法違反を犯していないのに取り締まりを受けたといったケースでは、その場で否認し、交通反則通告制度の適用を受けず通常の刑事手続きによって争うことになります。

    単に否認しただけでは逮捕される可能性は低いです。運転免許証を提示して氏名・住居などを明かしたうえで、出頭要請がある度に警察署で取り調べを受けていれば、任意のまま在宅事件として処理される場合が多いでしょう

    否認を貫いても警察の捜査結果によっては検察官へと送致され、起訴されて刑事裁判に発展する危険が残るものの、裁判官の審理の結果、起訴事実に誤りがあると認定されれば無罪判決が得られる可能性もあります。

  2. (2)前科をつけないためには弁護士のサポートが不可欠

    道路交通法違反によって前科がついてしまう事態を避けたいなら、弁護士のサポートは欠かせません。

    事実を争う否認事件では、弁護士に依頼することで「違反はなかった」と証明するための客観的な証拠収集を行う等の弁護活動を依頼できます違反の事実は自認しながらも刑罰を回避したいなら、検察官に対して深く反省している姿勢を示すこと等により不起訴処分を目指すことになるでしょう

    証拠収集や検察官へのはたらきかけ等は、個人での対応は困難です。道路交通法違反事件の解決実績を豊富にもつ弁護士に相談してサポートを受けましょう。

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5、まとめ

道路交通法に定められたルールに違反する行為は、刑罰が設けられた犯罪にあたります。比較的軽微な反則行為については交通反則通告制度の適用を受けて反則金を納付することで刑事処分の回避が可能ですが、反則行為にあたらない重大な違反や、反則金を納付しない場合は、通常の刑事手続きによって処分を受けるのが原則です。

道路交通法違反の容疑をかけられており、逮捕や刑罰・前科に不安を感じているなら、道路交通法違反に関する知識や事例に詳しい弁護士が多数在籍しているベリーベスト法律事務所にご相談ください。

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本コラムを監修した弁護士
萩原 達也
ベリーベスト法律事務所
代表弁護士
弁護士会:
第一東京弁護士会

ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
当事務所では、元検事を中心とした刑事専門チームを組成しております。財産事件、性犯罪事件、暴力事件、少年事件など、刑事事件でお困りの場合はぜひご相談ください。

※本コラムは公開日当時の内容です。
刑事事件問題でお困りの場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にお問い合わせください。

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